吉村昭×記念日

9月

9月1日 関東大震災発生日×『関東大震災』平成16年 文春文庫 関東大震災
大正12年9月1日に関東大震災が発生。吉村は、日暮里で被災した両親の話から、災害時の人間に対する恐怖を感じた。その後、膨大な文献資料を調査、生存者の証言を収集し、地震被害の実状を描き出した。
9月1日 吉村家でスイトンを食べる日×「スイトン家族」『月夜の記憶』平成2年 講談社文庫
「幼い頃、スイトンを食べながら両親から大震災の話を聞いた」吉村は、関東大震災発生日である毎年9月1日に家族でスイトンを食べると決めていた。なお、家族は不満に思っていたようだ。
9月17日 世界患者安全の日×『お医者さん・患者さん』昭和60年 中公文庫 お医者さん・患者さん
2019年WHOの総会において制定。吉村は過去の大病の経験などを踏まえ、医者と患者の望ましい関係をエッセイで綴っている。コロナ禍において、日々医療への関心・理解を深める必要性を痛感する一冊。
9月23日 万年筆の日×「入学祝い」『私の好きな悪い癖』平成15年 講談社文庫 私の好きな悪い癖
英国で1809年に万年筆の元となったペンが考案され、特許取得した日。吉村は、中学入学時に初めて所持し、清書・下書き・推敲・手紙・日記用などを使い分けた。愛用し続けた万年筆への思いを綴った随筆。
9月27日 日独伊三国同盟×『深海の使者』平成23年 文春文庫 深海の使者
1940年に調印された日本、ドイツ、イタリア3か国間における軍事同盟で、太平洋戦争突入の要因となった。「深海の使者」は、日独間を秘密裏に往来した潜水艦に焦点をあて、多くの関係者から証言を得て執筆された。
9月30日 翻訳の日×『破船』昭和60年 新潮文庫 破船
聖書をラテン語に訳したヒエロニムスの命日に由来し(一社)日本翻訳連盟が制定。天然痘患者を乗せた船が流れ着いた村を描く『破船』は、吉村作品の中でも、英語・独語・蘭語・仏語をはじめ最も多くの言語に翻訳されている。