吉村昭×記念日

6月

6月1日 世界牛乳の日×「牛乳瓶」『碇星』平成14年 中公文庫 碇星
牛乳への関心を高めようと、国連食糧農業機関が2001年に制定。吉村が子どもの頃過ごした日暮里には乳牛を飼っている牛乳屋があった。その牛乳屋の思い出を題材にした話で、戦時下のまちの情景と生活が描かれている。
6月5日 津村節子氏の誕生日×津村節子『ふたり旅-生きてきた証しとして』平成20年 岩波書店 ふたり旅-生きてきた証として
作家、津村節子氏は、1928年6月5日に福井県で生まれた。この作品は、夫、吉村昭と歩んだ50数年をふり返った自伝。吉村昭ファンにとっても必読の一冊。
6月8日 戦艦「陸奥」沈没日×『陸奥爆沈』昭和54年 新潮文庫 陸奥爆沈
1943年6月8日、日本屈指の軍艦である戦艦「陸奥」が爆発事故を起こし沈没。吉村は、1121名の死者を出した「陸奥」沈没の謎について、詳細な調査を重ね、驚きの事実を発見した。
6月10日 時の記念日×「早くてすみませんが……」『私の好きな悪い癖』平成15年 講談社文庫 私の好きな悪い癖
「時間をきちんと守ろう」との趣旨で1920年に制定された。吉村は、締切り日を守らなかったことが一度もない作家だった。この締切り日前に提出する習慣は、少年時代に身についたようだ。
6月12日 日記の日×「妻の日記」『街のはなし』平成11年 文春文庫 街のはなし
1942年6月12日に「アンネの日記」が書き始められたことに由来。毎日日記を書く吉村と、吉村の日記を借りて1年分まとめて書く妻の津村節子氏。日記をめぐるお二人の仲睦まじい姿が垣間見える。
6月14日 川端康成生誕日×『わが心の小説家たち』平成11年 平凡社新書 わが心の小説家たち
川端康成は1899年、大阪府の生まれ。川端の「感覚の鋭さ」が好きで、影響を受けた吉村。この本では『死体紹介人』『雪国』『千羽鶴』など、川端作品の魅力を語っている。
6月22日 かにの日×「ズワイ蟹」『蟹の縦ばい』平成5年 中公文庫 蟹の縦ばい
かに料理の美味しさを広めようと、「株式会社かに道楽」が1990年に制定。旭川から車で3時間半の北海道枝幸町で講演会を行ったいきさつと、講演後に食したズワイ蟹について、所感を記している。
6月23日 沖縄慰霊の日×『殉国 陸軍二等兵比嘉真一』令和2年 文春文庫 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
昭和20年6月23日沖縄戦終戦記念日。吉村は、14歳の少年兵から見た沖縄戦を描くため、返還前の沖縄に1か月間滞在し調査をした。戦争を考えるきっかけとして、若い方にこそ読んでほしい一冊。
6月29日 佃煮の日×「佃煮屋」『私の引出し』平成8年 文春文庫 私の引出し
栄養豊富な佃煮をもっとPRしようと、佃煮を扱う全国調理食品工業協同組合が制定。日暮里駅近くの馴染みの佃煮屋を紹介している。お酒と地元の食物をこよなく愛した吉村のエッセイが味わえる。