吉村昭×記念日

7月

7月1日 更生保護の日×「見えない橋」『見えない橋』平成17年 文春文庫 見えない橋
犯罪者予防更生法の施行日(1949年)に由来し、法務省が制定(1962年)。冊子「更生保護」を読んだ吉村が取材を基に執筆。保護会主幹の目を通して、今度こそはと更生を望む男を描いた短篇。
7月2日 うどんの日×「朝のうどん」『わたしの普段着』平成20年 新潮文庫 わたしの普段着
香川県製麺事業協同組合制定(1980年)。香川県地方の農家で、雑節「半夏生」(はんげしょう)の頃に、うどんを食べて労をねぎらった習慣に由来。吉村が好んだ宇和島市のうどん店について綴った随筆。
7月6日 零式艦上戦闘機の試作機による飛行試験が始まった日(1939年)×『零式戦闘機』昭和53年 新潮文庫 零式戦闘機
多くの関係者への取材を基に、零式艦上戦闘機の誕生から末路までをたどり、戦争の本質とは何かを描き出した長篇小説。
7月11日 ラーメンの日×「幻のラーメン」『わたしの流儀』平成13年 新潮文庫 わたしの流儀
日本ラーメン協会制定。最初にラーメンを食べたという徳川光圀の誕生日と、日付をレンゲ(7)と、箸(11)に見立てたことに由来。吉村が、札幌ラーメンの美味さを知った店の思い出を綴った随筆。
7月14日 内視鏡の日×『光る壁画』昭和59年 新潮文庫 光る壁画
内(71)視(4)の語呂合わせと、内視鏡医学の発展と普及を目的に制定(2006年、内視鏡医学研究振興財団)。1950年、日本は世界初の胃カメラによる胃内撮影に成功。開発した医師や技師の姿を追求した長篇小説。
7月15日 第2回太宰治賞授賞式(昭和41年)×「星への旅」『星への旅』昭和49年 新潮文庫 星への旅
岩手県田野畑村の鵜の巣断崖を舞台に描いた短篇「星への旅」で第2回太宰治賞を受賞。吉村の作家としての出発点となった。授賞式の10日後には、執筆中の「戦艦武蔵」を書き上げた。
7月15日 第163回芥川賞・直木賞選考会×『私の文学漂流』平成7年 新潮文庫 私の文学漂流
太宰治賞受賞と「戦艦武蔵」発表(昭和41年)までをたどった自伝。4度の芥川賞候補となるも、受賞とは縁がなかった吉村。進むべき道を思い定めて、一途に書き続けた日々を綴っている。
7月23日 文月ふみの日×『果てなき便り』令和2年 文春文庫 果てなき便り
ふ(2)み(3)の語呂合わせで、毎月23日はふみの日。郵政省制定(1979年)。津村節子が、夫、吉村昭と交わした手紙から、夫婦作家の歩みをたどる随筆。手紙にこめられた真心と強い志に心打たれる一冊。
7月25日 かき氷の日×「苺のかき氷」『ひとり旅』平成22年 文春文庫 ひとり旅
「な(7)つ(2)ご(5)おり」の語呂合わせと、この日に当時の日本の最高気温が記録されたことから、日本かき氷協会が制定。出所したばかりの受刑者が、かき氷を休む間もなく口に運んでいた姿を思い起こしている。
7月31日 吉村昭の命日×『白い遠景』平成27年 講談社文庫 白い遠景
今日は荒川区出身の作家、吉村昭の命日(平成18年7月31日)。『白い遠景』は、初期の随筆集。戦争、社会、小説、取材をテーマとした随筆を収録。吉村昭の原点を知ることが出来る一冊。