- 文学館
- 掲載日2020年9月18日
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吉村昭記念文学館では、常設展示室2階に映像コーナーを設けています。
このコーナーでは、吉村昭ゆかりの人びとによる証言を記録した映像10作品を公開しており、作品を選択して視聴することができます。貴重な証言を基に、吉村昭の人となりや作品世界、創作に対する姿勢などを紹介しています。
令和2年7月からは、新作「貫きしことに悔いなし~吉村昭と俳句~」(令和元年度製作)を公開しています
吉村昭関連証言映像「貫きしことに悔いなし~吉村昭と俳句~」について
吉村は長篇小説「海も暮れきる」で、俳人、尾崎放哉(本名、秀雄 明治18年~大正15年)が小豆島で過ごした最晩年の8カ月間に焦点を当て、その生と死を描き出しました。この作品の連載が始まった昭和52年(1977年)、吉村は、津村節子氏や、親しい編集者、画家とともに句会、石の会を始めました。
今回の映像では、吉村、津村夫妻と共に28年間、句会を続けた石の会(後に改組、狐火の会)会員4名の証言と、津村氏インタビューを収録しました。吉村の俳句の特色や、句会の思い出、また「海も暮れきる」執筆の経緯や小豆島での取材、さらに、吉村にとっての放哉句とは、など、さまざまな視点から振り返っていただきました。 映像タイトルは、吉村の俳句「貫きしことに悔いなし鰯雲」(吉村昭『炎天』収録)からとったものです。また、小豆島尾崎放哉記念館所蔵資料も紹介しています。ぜひ、証言映像を通して、句会の会員との時間を大切にし、熱心に句作を続けた吉村の俳句に対する思いと、その作品にふれてみてください。
句会石の会の会員と越後湯沢駅前の喫茶店で
昭和63年5月 津村節子氏蔵
左より畑農照雄、小島香、影山勲、根岸勲、石倉昌治(俳号、石寒太)、天野敬子、津村節子、吉村昭
石の会と句集『炎天』について
石の会では、吉村を含む会員8名が、熱心に句を作り、選評し合いました。また、句会は、都内各地のほか、吉村が憩いの場としたマンションがある越後湯沢など、一泊旅行に出かけて開かれることもありました。句会が終わると、食事を楽しみ、親睦を深めたそうです。
昭和62年、石の会が吉村の還暦を記念し、句集『炎天』を発行しました。石の会第42回までの句から143句が収録されています。翌63年には、津村節子の還暦を記念して句集『花野』が発行されました。いずれも、会員の画家、畑農照雄が装幀を担当し、それぞれの誕生日に15部限定で刊行されました。
石の会(後に改組、狐火の会)は、吉村がこの世を去る前年の平成17年(2005年)9月まで28年間続きました。平成21年には、津村が、石の会第43回以降の句から選句し、再編した句集『炎天』(筑摩書房)が刊行されています。
吉村昭『炎天』 平成21年 筑摩書房
俳句に関する随筆も収められている。
作品時間
約17分
場所
吉村昭記念文学館2階 常設展示室 映像コーナー
入場料
無料