- 掲載日2023年8月22日
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吉村昭『関東大震災』に収録された山岡清眞氏の手記を展示中です!(10月18日(水)まで)
<本所被服廠跡の生存者・山岡清眞氏の手記全4冊 吉村昭記念文学館蔵>
1・(後列右)山岡清眞「大正十二年九月一日 関東大震災本所被服廠跡 被災生存者記録」昭和47年(1972)(当館蔵)
2・(後列左)山岡清眞「関東大震災 嗚呼被服廠跡」昭和49年(1974)1月26日(当館蔵)
3・(前列右)山岡清眞「関東大震災 嗚呼被服廠跡」昭和49年(1974)1月26日(当館蔵)
4・(前列左)山岡清眞「大正十二年九月一日被災 嗚呼 噫 被服廠跡」昭和49年(1974)1月26日(当館蔵)
※1が最初に書かれた手記。2を書き直して整えたものが3と考えられる。4は第三者による清書。
<吉村昭『関東大震災』新装版 平成16年 文春文庫>
(上)現在、関東大震災発生から100年の新帯で書店に並ぶ(第22刷 令和5年8月5日発行)
【第22回トピック展示】関東大震災100年「吉村昭と関東大震災―明日へつなぐ記録と記憶―」では、山岡清眞(せいしん)氏の手記を展示しています。
山岡清眞氏は、凄まじい火災旋風により、3万8千人が犠牲になった本所被服廠跡の生存者です。
関東大震災発生から100年の節目に、ご子息が、手記全4冊を発見し、吉村昭記念文学館へ寄贈されました(令和5年8月8日)。
山岡氏が体験した火災旋風の惨状が、400字詰め原稿用紙に手書きで記録されています。最も枚数が多い一冊は、原稿用紙90枚にわたり、地震発生前後の人びとが、どのような言葉を交わし、行動したのか、その姿が生々しく記されています。
巻末には、山岡氏の体験に基づいた「大地震大火事の時の心構へ」も収められた貴重な手記です。
昭和47年(1972)、山岡氏の手記を読んだ吉村昭は、山岡氏の了解を得た上で、整えた文章の一部を『関東大震災』に収録しました。
克明な記録と、山岡氏ならではの表現力に着目し、「体験者でなくては描写できぬもの」と記しています(「関東大震災」ノート(一)『白い遠景』昭和54年 講談社)。
手記全4冊には、同じ惨状が繰り返されないために、本所被服廠跡で起きた火災旋風の実態と、人びとの姿を後世に伝え、その教訓を、災害に対する備えや避難の心構えに活かしてほしいと願う山岡氏の強い思いが込められています。
ぜひ、山岡氏の手記をご覧ください。
展示詳細はこちら【第22回トピック展示】関東大震災100年「吉村昭と関東大震災―明日へつなぐ記録と記憶―」
https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/contents?pid=1506