
複製:当館蔵(原資料:福井県ふるさと文学館蔵)
会期
令和7年11月21日(金)から令和8年6月17日(水)まで
概要
津村節子が描いた評伝小説。芸術家夫妻の愛と懊悩、高村光太郎の妻・智恵子の並々ならぬ人生を通して、その実像に迫った。
高村光太郎の『智恵子抄』(龍星閣)が刊行されたのは昭和16年(1941年)、津村が女学校に入学した年だった。同年12月には太平洋戦争が勃発し、戦意高揚の気運が世間に満ちる中、津村は人間らしい感情を抱くことに、罪悪を感じる青春時代を過ごす。そのような時代に手に取った「智恵子抄」で謳われた二人の夫婦の在り様は、津村に鮮烈な印象を与えるものとなった。吉村昭と結婚し、自身も作家夫婦となった津村は、智恵子により惹かれていく。小説家の夫と共に生きる津村だからこそ、芸術家の夫と共に生きた智恵子と通じ合うものがあった。
これまで津村は何度か智恵子を題材に執筆したが、満足のいく形には至らず、出版社から連載の依頼を受けて、長期に及ぶ取材と資料収集を行った。そして、平成7年(1995年)から2年間の連載を通し、智恵子の実像を立体的に描き出すことに成功した。本作は、同9年に単行本化され、翌年、第48回芸術選奨文部大臣賞を受賞した。