自筆原稿「落日の宴」

会期

令和3年12月17日(金)から令和4年1月19日(水)まで

概要

 幕末期、軽輩の身ながら勘定奉行まで登りつめ、開国を迫るロシア使節と堂々と渡り合った川路聖謨の生涯を描く作品です。
「群像」の編集部から歴史小説の執筆依頼を受けた時、吉村はためらうことなく、以前から強い関心を抱いていた川路聖謨を主人公にした小説にしようと考えました。連載を終えると、吉村はますます川路に魅力を感じました。川路は頭脳、判断力、人柄ともに卓越した幕吏であり、ロシア使節プチャーチンとの間で交わした日露和親条約締結には、外国事情に精通した彼の見事な駆け引きと、揺るぎない誠実さがありました。
 真の人とのつながりを築いた川路の高い見識と、豊かな人間味を味わって欲しい一作です。