概要

昭和2年(1927)、現東京都荒川区東日暮里に生まれた吉村昭と、翌3年、現福井県福井市順化に生まれた津村節子は、それぞれ18歳と17歳の時に、太平洋戦争の終結を迎えました。
二人は戦時下の体験を、小説や随筆に描いています。吉村は自伝的連作短篇集『炎のなかの休暇』(昭和56年 新潮社)で戦死した兄の姿を、回想記『東京の戦争』(平成13年 筑摩書房)で故郷・日暮里での空襲体験を記しました。
一方、津村は、長篇『茜色の戦記』(平成5年 新潮社)で、勤労動員や学徒動員を体験した女学校時代を中心に、戦時下で過ごした青春を描いています。
本展では、二人が十代という多感な時期に、戦時下でどのような体験をしたのかを、自筆原稿や関連資料、写真などを通して紹介します。
併せて、吉村が、自身の空襲体験を語る対談映像を放映します。
戦後80年を経た今、戦争の記憶を継承し、伝え続けることの大切さについて、改めて考える機会にしていただけましたら幸いです。

主な展示資料

記号*は津村節子氏寄託資料
・吉村昭自筆原稿「空襲のこと(後)」*
・吉村昭自筆原稿「虹」<初公開>*
・吉村昭自筆原稿(草稿)「月夜の炎」<初公開>*
・吉村昭 城山三郎『昭和二年生まれの流儀』(令和7年 中公文庫)(当館蔵)
・津村節子自筆原稿「茜色の戦記」(複製)(当館蔵 原資料:福井県ふるさと文学館蔵)
・津村節子「茜色の戦記」創作ノート(写真提供:福井県ふるさと文学館)
・津村節子「ミチヨチャンノヱニッキ」(複製)(当館蔵 原資料:福井県ふるさと文学館蔵)
・写真 吉村昭の兄敬吾の出征前(昭和14年頃)*
・写真 吉村昭 中学校卒業の頃(昭和20年)*
・写真 津村節子 学校農場で農作業に従事(昭和18年)*
・写真 津村節子 東京工業専門学校写真科の養成所時代(昭和19年 )*
・澤野孝二画「凧揚げをする吉村昭とアメリカ軍のドーリットル機」(当館蔵)
・※映像「吉村昭氏・澤野孝二氏対談―東京初空襲の体験を語る」約53分(平成17年 荒川区)(当館蔵)
・※映像「東京の占領 1945年」(昭和館蔵)など
※映像は会期中、常時放映。

荒川区・福井県おしどり文学館協定について

吉村昭氏の妻で、荒川区立ゆいの森あらかわ名誉館長の津村節子氏(福井県出身)は、福井県ふるさと文学館特別館長も務めておられます。
お二人は、文壇でも仲の良い夫婦であることが知られており、仲睦まじい夫婦の象徴である「おしどり」にならい、両文学館も夫婦のように手を携えて協力していこうと、平成29年11月5日に「おしどり文学館協定」を締結しました。
作家夫婦に関する文学館同士の協定は、全国で初めてで、協定締結の11月5日は、吉村・津村夫妻の結婚記念日にあたります。

会期

令和7年10月17日(金曜)から12月17日(水曜)まで

【休館日】11月20日(木曜)、12月5日(金曜)

開館時間

9時から20時30分まで

会場

吉村昭記念文学館2階著作閲覧コーナー

入館料

無料