概要
吉村昭は歴史小説「雪の花」(※注)で、江戸時代末期、天然痘の予防法である種痘の普及に尽力した福井の町医・笠原良策の姿を描きました。この小説を原作とする映画「雪の花 ―ともに在りて―」が令和7年1月24日(金)より全国公開されます。映画化にあたり、今回は、吉村が福井を舞台に描いた歴史小説「動く牙」「天狗争乱」「雪の花」を取り上げます。吉村の蔵書から、書き込みなどが残る執筆時に使用した史料の一部を紹介し、吉村の着眼点や調査の過程をたどります。また、吉村の妻で福井県出身の津村節子と共に、福井を旅した写真を紹介します(パネル展示)。
さらに展示室では、映画「雪の花 ―ともに在りて―」の特報映像(©2025映画「雪の花」製作委員会)を放映します。
(※注)昭和47年刊行の『めっちゃ医者 伝』(新潮少年文庫)を大幅に加筆、改題し『雪の花』(昭和63年、平成24年改版 新潮文庫)を刊行した。
荒川区・福井県おしどり文学館協定について
吉村昭氏のご令室で、荒川区立ゆいの森あらかわ名誉館長の津村節子氏は、福井県の出身で、福井県ふるさと文学館特別館長も務めておられます。
吉村昭氏と津村節子氏は文壇でも仲の良い夫婦であることが知られており、仲睦まじい夫婦の象徴である「おしどり」にならい、両文学館も夫婦のように手を携えて協力していこうと、平成29年11月5日「おしどり文学館協定」を締結しました。作家夫婦に関する文学館同士の協定は、全国で初めてで、協定締結の11月5日は、吉村・津村夫妻の結婚記念日にあたります。
主な展示資料
*は津村節子氏寄託資料
・天野俊也「水戸浪士の西の谷通行と大野藩」(『西谷村誌』抜刷 昭和45年)*
・石井左近「敦賀と水戸烈士の話」(複写)(昭和45年 敦賀郷土博物館)*
・山口誠太郎『筑波義軍旗挙』上(昭和62年 筑波書林)*
・福井県医師会編『福井県医学史』(昭和43年 福井県医師会)*
・『中根雪江先生』(昭和52年 中根雪江先生百年祭事業会発行)*
・間部家文書刊行会編『間部家文書』第四巻(昭和61年 鯖江市役所)*
・『越前藩幕末維新公用日記』(昭和49年 福井県郷土誌懇談会)*
・『福井県史 資料編3 中・近世一』(昭和57年 福井県)*
・写真 笠原良策(提供 福井市立郷土歴史博物館)
・写真 笠原良策所用の種痘道具(提供 福井市立郷土歴史博物館)
・写真 吉村昭と津村節子の福井旅行 昭和48年(津村節子氏所蔵アルバムより)*
・映像 映画「雪の花 ―ともに在りてー」特報(©2025映画「雪の花」製作委員会)
会期
令和6年10月5日(土曜)から12月18日(水曜)まで
【休館日】10月17日(木曜)、11月21日(木曜)、12月6日(金曜)
開館時間
9時から20時30分まで
会場
吉村昭記念文学館2階著作閲覧コーナー、エントランス
入館料
無料