会期

令和4年12月16日(金)から令和5年2月15日(水)まで

概要

 「最後の仇討」は、明治13年(1880)に元萩月藩主の臼井六郎が両親の敵である一瀬直久を討ち取った「臼井六郎仇討事件」を題材にした作品です。慶応4年(1868)を発端とし、明治13年に決着するという過渡的な時世に起きた事件で、日本最後の敵討ともいわれています。
 この事件は当時の新聞にも取り上げられ、判決内容に世間が同情する様子や、六郎が釈放された日に、六郎の精神的支えであった師の故・山岡鉄舟夫人の主催で慰労会が盛大に催されたことなどが報じられています。吉村はこれらの記事から、時代は変わっても当時の日本人の意識の中には敵討に対する考え方が依然として残っていて、そうした日本人の揺れ動く複雑な心情を描きたいと考え、本作の主題としました。