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全国文学館協議会共同展示「 吉村昭と自然災害~3・11文学館からのメッセージ~」のお知らせ

 平成29311日の東日本大震災発生後、吉村昭の『三陸海岸大津波』と『関東大震災』は、大きな注目を集めました。多くの体験者に話を聞き、埋もれた資料を探し出し、膨大な資料調査に基づいて執筆された作品は、震災の記憶と記録を語り継ぎ、過去の災害に学ぶことの大切さを伝えています。
 東日本大震災発生から10年となる今回は、体験者の証言が記された自筆取材ノートより、初公開箇所を展示します。また、吉村作品より、安政東海地震、東南海地震(1944年)を描いた場面や、阪神淡路大震災発生時に関東大震災の教訓を綴った随筆などを紹介します。 

「津波は、自然現象である。ということは、今後も果てしなく反復されることを意味している」
(『三陸海岸大津波』 平成16年 文春文庫)

「三陸海岸大津波」
「私は、津波の歴史を知ったことによって一層三陸海岸に対する愛着を深めている。屹立した断崖、連なる岩、点在する人家の集落、それらは、度重なる津波の激浪に堪えて毅然とした姿で海と対している。そしてさらに、私はその海岸で津波と戦いながら生きてきた人々を見るのだ。」(『三陸海岸大津波』 平成16年 文春文庫)
田野畑村(岩手県下閉伊郡)で、村民から聞いた津波の話に強い関心を持った吉村は、体験者の証言や回想を求めて、三陸沿岸を取材して歩いた。埋もれた記録や資料を探し出し、明治29年、昭和8年、同35年に三陸沿岸を襲った大津波の実態を著わした。「体験談をきいてまわるうちに、一つの地方史として残しておきたい気持にもなった」と記している。
「関東大震災」
『関東大震災』(昭和48年 文藝春秋)

日暮里で関東大震災を体験した両親の話を聞いて育った吉村は、未曽有の災害が生み出した人心の混乱に戦慄し、災害時の人間に対する恐怖を感じた。そのことが執筆の動機となり、生存者の証言を収集し、膨大な文献資料を調査した。地震被害の実状と、人心の混乱が生んだ社会事件を克明に描き出した。
<展示風景(一部)>
【展示風景】
「三陸海岸大津波」と「関東大震災」の自筆取材ノートを展示中です。
*会期終了後は、複製をご覧いただけます。

主な展示資料

2階 常設展示 特集コーナー「自然災害と人間の営み」※会期中のみ実物資料を展示します。(記号*は津村節子氏寄託資料)
〇津波に関する自筆取材ノートより、水面からの高さ50メートルに到達した明治29年の津波に関する証言を記した箇所*
〇関東大震災に関する自筆取材ノートより、本所被服廠跡に避難した生存者の証言を記した箇所*
〇自筆メモ「関東大震災と乗物」*
〇津村節子インタビュー「私にできること 被災者を励まし続ける」(「産経新聞」平成231222日)津村節子氏蔵 
2階エントランス(パネル紹介)
1・吉村作品に描かれた地震と津波の紹介
〇安政東海地震が描かれた『落日の宴 勘定奉行 川路聖謨(かわじとしあきら)』(平成8年 講談社)
「落日の宴 勘定奉行 川路聖謨」
安政元年(1854年)の日露和親条約にあたり、ロシアのプチャーチンとの厳しい交渉に挑んだ幕臣川路聖謨の姿を描いた歴史長篇。
安政東海地震は、下田で第1回日露交渉が行われた翌朝に発生。宿所にて、川路が朝食をとる場面で描かれた。津波に襲われたロシア使節が乗船するディアナ号の被害状況と、災害の中で日露交渉を進める過程を記している。
〇1944年東南海地震が描かれた『零式戦闘機』(昭和43年 新潮社)
「零式戦闘機」
零式艦上戦闘機の開発から戦場での悲運までを、設計者、技師、操縦者、勤労学徒たちの姿とともに描き出し、日本が行った戦争の姿を追究した長篇。終戦の8カ月前に発生した昭和東南海地震は、作品の終盤で描かれた。  零式艦上戦闘機を製造した三菱重工業名古屋航空機製作所の惨状や、女子挺身隊、勤労学徒をはじめとする従業員の凄惨な死を記している。
2・吉村昭・津村節子とゆかりの深い田野畑村(岩手県下閉伊郡)の紹介(写真パネル)
〇写真 文学碑「星への旅」除幕式に出席した吉村と津村節子*
〇写真 田野畑村の牧場で吉村と津村節子 津村節子氏蔵
〇田野畑村を舞台とする短篇「梅の蕾」(『遠い幻影』所収 平成10年 文藝春秋)
「[遠い幻影」
無医村だった田野畑村を舞台に、村に赴任した医師と妻子、村民との間に生まれた深い心の結びつきを描いた作品。
医師の妻は、花が少ない村に梅の苗を根付かせ、村民と親交を深めたが、やがて病死する。その葬儀の日には、夜を徹して、何台ものバスに乗車してきた村民が参列した。吉村は、田野畑村で医師の将基面誠氏と親交があった。将基面氏の実話を基に、この短篇を創作した。

主な関連作品

〇『三陸海岸大津波』にも記された明治29年の津波に関する随筆
・「高さ50メートル 三陸大津波」(『ひとり旅』平成19年 文藝春秋)
〇『関東大震災』執筆のための証言収集について記した随筆
・「関東大震災ノート(一)」「関東大震災ノート(二)」(『白い遠景』昭和54年 講談社)
・「『関東大震災』の証言者たち」(『私の好きな悪い癖』平成12年 講談社)
〇『関東大震災』の調査で得た防災の知見を記した随筆
「薬品と車」(『蟹の縦ばい』昭和54年 毎日新聞社)

・「被害を広げた大八車」(『縁起のいい客』平成15年 文藝春秋)
〇阪神淡路大震災の火災被害にふれながら関東大震災の教訓について記した随筆
・「歴史はくり返す」(『わたしの取材余話』平成22年 河出書房新社)

※著作は、ゆいの森で借りられます。3階に吉村昭著書と関連図書を配架しています。ぜひご利用ください。

過去の展示

解説シートで資料画像(一部)をご覧いただけます。
第9回トピック展示「 全国文学館協議会共同展示 吉村昭と震災小説―『三陸海岸大津波』と『関東大震災』を中心に―」

全国文学館協議会共同展示について

今回の展示は、全国文学館協議会の加盟館が行う共同展示の一環です。共同展示は、東日本大震災発生を契機に始まりました。毎年、3月に「未曾有の大災害を直視し、記憶に止め、死者たちへの鎮魂と哀悼、被災者への慰謝とコミュニティの復興を願って」開催するもので、第9回目を迎えます。
詳しくは、PDF全国文学館協議会共同展示2020年度(第9回)案内チラシ(PDF 369 KB)をご覧ください。

会期

令和3年2月19日(金曜)から4月14日(水曜)

会場

  吉村昭記念文学館 2階 エントランス、2階 常設展示 特集コーナー「自然災害と人間の営み」


問合せ

ゆいの森あらかわ 吉村昭記念文学館
〒116-0002荒川区荒川2-50-1
TEL 03-3891-4349Fax 03-3802-4350


掲載日 令和3年3月3日 更新日 令和3年4月17日
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