会期:令和3年10月16日(土)
-12月15日(水)

【開館時間】 9時30分~20時30分
【休館日】 10月21日(木)、11月18日(木)、12月3日(金)
【入館料】 無料
【会場】 ゆいの森あらかわ 3階 企画展示室
【主催】 荒川区 吉村昭記念文学館

※新型コロナウィルス感染症拡大状況により、開催日時等を変更する可能性があります。

INTRODUCTION

 平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災発生は、吉村昭がこの世を去ってから5年後のことでした。国内観測史上最大規模の地震と、岩手、宮城、福島県を中心とする太平洋沿岸に来襲した大津波は、福島第一原子力発電所の事故を生み、甚大な被害をもたらしました。未曾有の災害に直面した時、吉村の著作『三陸海岸大津波』と『関東大震災』は、広く再読され、増刷を重ねました。体験者への綿密な取材と、膨大な文献資料の調査を行い、失われた多くの尊い命を見つめて執筆されたこれらの作品は、過去の災害に学ぶべき教訓を後世に伝え、語り継ぐことの大切さを問いかけています。本展では、東日本大震災から10年を経た今、改めて、この2作を中心とする資料を取り上げ、吉村作品が伝える災害の実態と人びとの営み、防災に関するメッセージをたどります。
 昭和45年(1970年)に発表した『海の壁』(中公新書、同59年改題『三陸海岸大津波』〈中公文庫〉)で、吉村は、明治29年、昭和8年、同35年に三陸沿岸を襲った大津波の実態を記しました。田野畑村(岩手県下閉伊郡)で、村民が語る津波の体験談を聞いたことや、三陸沿岸で目にする防潮堤に関心をもったことが、執筆のきっかけでした。また、関東大震災に遭遇した両親の話を聞いて育った吉村は、大地震の実態と非常時における人間の本質を探究し、『関東大震災』(昭和48年 文藝春秋)を著しました。
 今回の展示では、証言を書き留めた取材ノートや自筆講演メモ、参考文献、初公開となる旧蔵書などを紹介し、作品成立の過程を追います。また、津村節子『三陸の海』(平成25年 講談社)をはじめ、吉村の著作を踏まえた作家たちの作品や、田野畑村、宮古市田老、釜石市、石巻市など、吉村・津村夫妻とゆかりの深い三陸沿岸の地から届いた言葉や資料を紹介します。

PROFILE

撮影:小澤忠恭

吉村昭Akira Yoshimura

昭和2年(1927)~平成18年(2006)
東京府北豊島郡日暮里町大字谷中本(現荒川区東日暮里六丁目)生まれ。空襲で家が焼失するまでの18年間を荒川区で過ごす。学習院大学在学中に執筆活動を開始。昭和41年に「星への旅」で太宰治賞受賞。同年、「戦艦武蔵」を発表しベストセラーとなる。「死とはなにか、生とはなにか」を主題に、人間の本質を探究し、数多くの短篇と長篇を執筆した。

[受賞歴]
太宰治賞、文藝春秋読者賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、毎日芸術賞、読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞、大佛次郎賞、海洋文学大賞特別賞、高野長英賞、日本芸術院賞、東京都都民文化栄誉章、荒川区区民栄誉賞、従四位旭日中綬章

[謝辞]
本展覧会の開催に際し、格別なご協力を賜りました関係者各位ならびに関係機関に深く感謝申し上げます。
※掲載した資料の著作権については極力調査を行いましたが、お気づきの点がございましたら当館までご連絡ください。

ACCESS

〒116-0002 東京都荒川区荒川二丁目50番1号(ゆいの森あらかわ内)
TEL 03-3891-4349 FAX 03-3802-4350
https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp

都電荒川線(東京さくらトラム)荒川二丁目(ゆいの森あらかわ前)下車徒歩1分
東京メトロ千代田線・京成線町屋駅下車徒歩8分
コミュニティバスさくらゆいの森あらかわ下車(土日祝のみ)